建設業許可は、取得すればその後の手続きが不要になるわけではありません。
許可を取得した後も、毎年提出しなければならない届出や、会社の役員・営業所・技術者などに変更があった場合に必要となる届出があります。
これらの届出を忘れてしまうと、建設業法上の義務違反となる可能性があるほか、建設業許可の更新など、その後の手続きにも影響することがあります。
特に注意したいのが、毎年提出する「決算変更届」と、変更内容によって提出期限が異なる「変更届」です。
この記事では、建設業許可を取得した後に必要となる主な届出の種類や提出期限、注意点について、具体例を交えながら解説します。
1.建設業許可取得後も届出が必要になる
建設業許可を取得した事業者は、許可申請時に届け出た内容に変更が生じた場合や、事業年度が終了した場合などに、許可行政庁へ所定の届出を行う必要があります。
主な届出は次のとおりです。
- 決算変更届(事業年度終了届)
- 会社・役員・営業所などの変更届
- 常勤役員等・営業所技術者等の変更届
- 廃業届
これらは、建設業法第11条および第12条などに基づく手続きです。
届出の種類によって提出期限が異なるため、それぞれの内容を把握しておくことが大切です。
2.毎年提出が必要な「決算変更届」とは?
決算変更届とは、建設業許可を取得した事業者が、毎事業年度の終了後に提出する届出です。
一般的には「決算変更届」や「決算報告」と呼ばれています。
税務署に提出する法人税の確定申告とは別の手続きであり、建設業許可を取得している事業者は、毎年提出しなければなりません。
提出期限
事業年度終了後4か月以内です。
例えば、3月決算の法人であれば、原則として7月末までに提出します。
個人事業主の場合は、通常12月31日が事業年度の終了日となるため、翌年4月末までが提出期限です。
主な提出書類
決算変更届では、主に次の書類を提出します。
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表
- 納税証明書
- 事業報告書(株式会社の場合など)
法人と個人事業主では財務諸表の様式が異なります。また、必要書類は許可行政庁や事業者の状況によって異なる場合があります。
決算変更届を提出しないとどうなる?
決算変更届を提出しないまま放置すると、建設業許可の更新や業種追加などの手続きに支障が生じる可能性があります。
特に、過去の決算変更届が未提出の場合、更新申請の前に未提出分を整理して提出する必要が生じることがあります。
決算変更届は毎年の義務であるため、決算が終了したら早めに準備を始めましょう。
3.会社や営業所などに変更があった場合の「変更届」
建設業許可を取得した後、許可申請書や添付書類に記載した内容に変更があった場合には、変更届を提出する必要があります。
変更届は、変更内容によって提出期限が異なります。
大きく分けると、次の2種類です。
① 変更後30日以内に提出するもの
会社の基本情報や役員などに関する変更が対象です。
| 変更事項 | 具体例 |
|---|---|
| 商号・名称 | 会社名の変更 |
| 営業所の変更 | 営業所の名称・所在地・業種の変更 |
| 資本金の変更 | 増資・減資 |
| 役員等の変更 | 取締役の就任・退任 |
| 個人事業主の氏名変更 | 結婚などによる氏名変更 |
| 営業所の新設 | 新しい営業所を開設 |
| 支配人の変更 | 支配人の就任・退任 |
例えば、建設業許可を取得した後に会社の代表取締役が交代した場合や、会社名を変更した場合には、原則として変更があった日から30日以内に届出を行います。
なお、営業所の新設や役員の就任などは、追加で提出する書類が多くなることがあります。
② 変更後2週間以内に提出するもの
こちらは、建設業許可の取得要件や営業体制に関係する重要な変更事項です。
| 変更事項 | 具体例 |
|---|---|
| 常勤役員等の変更 | 経営業務の管理責任者等の交代 |
| 常勤役員等を直接補佐する者の変更 | 補佐者の交代 |
| 営業所技術者等の変更 | 営業所技術者等の交代 |
| 令第3条の使用人の変更 | 営業所の代表者の交代 |
| 健康保険等の加入状況の変更 | 社会保険の加入状況の変更 |
| 欠格要件への該当 | 許可を維持するうえで問題となる事由の発生 |
特に注意したいのが、常勤役員等と営業所技術者等の変更です。
これらの人員は建設業許可の要件に関係するため、退職や異動などが決まった場合には、後任者の確保や資格・実務経験の確認を早めに進める必要があります。
例えば、営業所技術者等が退職する場合、後任者が必要な資格や実務経験を満たしているかを確認しなければなりません。
また、後任者を確保できず、許可要件を満たせなくなる場合には、許可の維持に影響する可能性もあります。
そのため、単に変更届を提出すればよいというわけではなく、変更後も許可要件を満たせるかどうかを確認することが重要です。
※変更後2週間以内という期限は、原則として変更の事実が発生した日を基準に考えます。具体的な届出事項と添付書類は、国土交通省の最新の様式・手引きを確認してください。
4.建設業を廃業する場合の「廃業届」
建設業許可を取得した後、建設業を廃業する場合にも届出が必要です。
例えば、次のようなケースが該当します。
- 建設業を完全に廃業する場合
- 個人事業主が建設業を廃業する場合
- 法人を解散する場合
- 許可を受けている建設業の全部または一部を廃止する場合
提出期限
原則として、廃業等の事実が発生した日から30日以内です。
廃業届は、建設業許可を受けている事業者が、許可を受けた建設業を廃止した場合などに提出するものです。
ただし、法人の解散や事業承継、許可業種の一部廃止などは、それぞれ状況によって必要な手続きや届出義務者が異なります。
特に、事業を他社へ引き継ぐ場合には、単純な廃業届だけでなく、建設業許可の譲渡・譲受けなどの認可制度を利用できるケースもあります。
事業を終了・承継することが決まった段階で、許可行政庁や専門家に相談することをおすすめします。
5.建設業許可取得後に注意したいその他の義務
ここまでは主な届出について解説しましたが、建設業許可を取得した事業者には、届出以外にも守らなければならないルールがあります。
代表的なものを紹介します。
① 建設業許可票(標識)の掲示
建設業許可を取得した事業者は、営業所や建設工事の現場に、定められた事項を記載した標識を掲示する必要があります。
いわゆる「金看板」と呼ばれるものです。
標識には、主に次の事項を記載します。
- 一般建設業または特定建設業の別
- 許可を受けた建設業
- 許可番号
- 許可年月日
- 商号または名称
- 代表者の氏名
営業所用と工事現場用では記載事項や様式が異なるため、掲示場所に応じた標識を準備しましょう。
② 建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は、原則として5年間です。
引き続き建設業を営む場合には、有効期間が満了する前に更新申請を行う必要があります。
更新申請は、原則として有効期間満了日の2か月~3か月前から30日前までに行います。
例えば、許可の有効期間が12月31日までの場合、9月30日(又は10月31日)から12月1日までが通常の申請期間となります。
更新を忘れてしまうと許可が失効してしまうため、許可通知書などで有効期限を確認し、余裕を持って準備することが大切です。
また、決算変更届や必要な変更届が未提出の場合には、更新手続きに支障が生じることがあります。

③ 建設業法に基づく帳簿の備付け・保存
建設業者は、営業所ごとに営業に関する帳簿を備え付け、一定期間保存する義務があります。
また、請負契約書や注文書、請求書などの関係書類についても、法令に従った保存が必要です。
帳簿や契約関係書類は、工事の内容や契約条件を確認するうえでも重要な資料となります。
日頃から適切に整理・保管しておきましょう。
6.建設業許可取得後に必要な届出一覧
ここまで紹介した届出を一覧にまとめました。
| 届出の種類 | 主な内容 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 決算変更届 | 毎事業年度の決算 | 事業年度終了後4か月以内 |
| 変更届 | 商号・名称の変更 | 変更後30日以内 |
| 変更届 | 資本金・役員等の変更 | 変更後30日以内 |
| 変更届 | 営業所の新設・変更等 | 変更後30日以内 |
| 変更届 | 常勤役員等の変更 | 変更後2週間以内 |
| 変更届 | 営業所技術者等の変更 | 変更後2週間以内 |
| 変更届 | 健康保険等の加入状況の変更 | 変更後2週間以内 |
| 廃業届 | 建設業の廃業等 | 原則30日以内 |
※上記は主な届出事項です。変更の内容や許可行政庁によって必要書類・提出方法が異なる場合があります。
まとめ
建設業許可を取得した後に必要となる主な届出は、次のとおりです。
- 毎年の決算変更届(事業年度終了後4か月以内)
- 会社・営業所・役員などの変更届(原則30日以内)
- 常勤役員等・営業所技術者等の変更届(原則2週間以内)
- 建設業を廃業する場合の廃業届(原則30日以内)
建設業許可は、取得後の管理も非常に重要です。
届出漏れや提出期限の超過を防ぐためにも、必要な手続きを把握し、計画的に対
建設業許可取得後の届出は行政書士に相談することもおすすめ
建設業許可は、取得することがゴールではありません。
許可取得後も毎年の決算変更届や、会社・役員・営業所などに変更があった場合の変更届など、継続的な手続きが必要になります。
特に、常勤役員等や営業所技術者等の変更は、建設業許可の要件に直接関係するため、慎重な対応が求められます。
次のようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
- 毎年どのような書類を提出すればよいのか分からない
- 決算変更届の作成方法が分からない
- 役員や営業所に変更があったが、届出が必要なのか分からない
- 営業所技術者等が退職することになった
- 建設業許可の更新時期が近づいている
このようなお悩みがある場合は、行政書士に相談することも一つの方法です。
当事務所では、建設業許可の新規取得だけでなく、決算変更届や各種変更届、許可更新など、許可取得後の手続きについてもサポートしております。
建設業許可に関する手続きでお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
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